僕が「トーキョーエイリアンブラザーズ」を好きな理由
伊野尾さん初主演ドラマ「トーキョーエイリアンブラザーズ」も残すところあと2話。すでに冬ノ介ロスを否めないこの頃です。
私はこの作品がとても好き。
自担が主演というのがきっかけではありつつも、原作の絵も。ストーリーも。
ドラマの世界観も。見せ方も。出演者の演技も。
とにかくすべてが好き。
これほどまでに心躍るドラマはいつぶりだろう…?
つい視聴後は思いが昂ぶって面倒くせぇ語り厨に成り下がり気味なのですが、つべこべ言わずとも、単純に感覚的に『おもしろい』です。
- 奇想天外ながら、考えさせられるストーリー。
- 人物・感情の描写の緻密さ。
- エイリアン兄弟の『間』と『無』の演技力。
- 原作に忠実なキャラビジュ
- あらゆるところに詰め込まれたちょっとオカシナ世界観。
- エログロを鮮やかに表現する映像美や音楽。
- 「ぎこちなく笑う」という演技
- 冬ノ介と夏太郎。それぞれの成長と欠落
いつものテンションだと「かわいい」「かっこいい」「天才」「優勝」「降参」など界隈にしか通じない陳腐な言葉で語ってしまいそうだけど、今回ばかりはもう少し適切な言葉を選びたい。 そんな気持ちを駆り立てられています。
エイブラ放送枠である「シンドラ」とは?
2017年6月に『孤食ロボット』を皮切りにはじまった NTV 月曜深夜の30分ドラマ枠。
現在発表されている第6弾まではジェイ・ストームとNTVの共同制作で、すべてジャニーズのタレントが主演を努めています。
なんやかんや、私この枠、ぜ~~~んぶ見てます!(ドヤ
第1弾『孤食ロボット』
Hey!Say!JUMP 有岡大貴・八乙女光・髙木雄也
第3弾『卒業バカメンタリー』
ジャニーズWEST 藤井流星・濱田崇裕
第4弾『○○な人の末路』
Kis-My-Ft2 横尾渉・宮田俊哉・二階堂高嗣・千賀健永
第5弾『トーキョーエイリアンブラザーズ』
Hey!Say!JUMP 伊野尾慧・A.B.C-z 戸塚祥太
第6弾『部活、好きじゃなきゃダメですか?』(2018年10月より)
King&Prince 高橋海人・神宮寺勇太・岩橋玄樹
完全に憶測に過ぎませんが、個人的にこの枠の役割は5つあると思っています。
- 1つめは、ネット配信ビジネスの拡張とマーケティング
- 2つめは、深夜枠の視聴率底上げ
- 3つめは、「ドラマ作り」における製作陣のチャレンジ
- 4つめは、タレントの演技の幅や可能性を発掘・拡張
- 5つめは、Blue-ray・DVDなどパッケージ商品の販売
ビジネス的なメリットはほとんどネット配信ビジネスあるのではないでしょうか。
熱心な固定ファンを抱えるジャニーズが、どれだけネット配信のビジネスモデルに寄与するのか、そのポテンシャルをお互いに模索しているように思えます。
そして出演者が、軒並み突飛な演技を経験することになるのもこの枠の特長だと思います。
孤食ロボットは『アンドロイド』。しかもムジャキなんて4,5歳っていう設定だぜ?
我が部屋は『出演者たった一人』。
バカメンはシソンヌ・じろうが脚本を務め、『シモネタ満載の非モテ』にチャレンジ。ジャニーズが「ドーテー」連呼するのは斬新だったな。
まるまつは大ヒット本のドラマ化に挑戦し、随所に『キスマイネタ』を散りばめたファンファーストな演出が高評価でした。シンドラでもっとも高視聴率を記録しているのはまるまつです。
そして我が自担 伊野尾さんは『エイリアン』ですよ。
しかも聖水プレイに、パンツ姿、変体、擬態、女装、暴行、血まみれ…洗剤飲んだり、歯磨き粉食ったり、シンドラの中でもかなりぶっ飛んだ演技が求められており、それに確実に応えています。
まさに体当たり。
こんな演技経験ができたのは、常にチャレンジングな「シンドラ」枠だからだと思っています。シンドラだったから、伊野尾さんの「初主演」連ドラでこれだけのことをやりきれたのだと。
はじめては一度きり。
伊野尾さんが冬ノ介に巡り会えたことで、私は自担の才能にまた気付かされました。
伊野尾さん本人にとっても、自信や誇りに繋がる経験になったと信じてやみません。
トーキョーエイリアンブラザーズの魅力とは?
あまりにも前置き長くて申し訳ありません。ここからいよいよ本題というか、私が感じているエイブラの魅力を語らせていただければと。
魅力その1
奇想天外ながら、考えさせられるストーリー
エイリアンの兄弟が、地球移住計画のため地球や人間について、人間になりすまして調査。調査中に巻き起こる人間交流記。
伊野尾さん演じる弟エイリアンの「冬ノ介」は、1年前から先発隊として地球を調査しており、そこに新たな任務を携えて兄が宇宙からやってきます。
兄は冬ノ介によって人間名を「夏太郎」と命名され、ともに調査にあたります。夏太郎は冬ノ介を監視するために派遣されたと思っていますが、実は冬ノ介しか知らない秘密のミッションがあり、それは『夏太郎が地球で仕事と恋人を作ること』。
それができた時、移住開始のGoサインになるのです。仕事と恋人を手に入れるために、奮闘する兄弟ですが…!?
…ってはちゃめちゃコメデかい!?ってなりそうですが、ちょっと違います。
地球にきて間もなく、みるみるうちに周囲に馴染み愛される夏太郎。それに引き換え先に地球に来ているにもかかわらず、いまだに的はずれな行動をしてしまい相手をしばしば怒らせてしまう冬ノ介。
ダメダメなはずの兄が自分よりも地球への順応力が高かったり、自分を好いていた女子が兄に心変わりすることを許せなくなり、冬ノ介の兄に対する想いがだんだんゆがみ始めます。
そこに「地球移住計画」中止の司令が届き、冬の今までの苦労がすべてパーに。
冬ノ介は自信と、任務を失い自暴自棄になり…というのが8話までのあらすじ。
宇宙人がハチャメチャに地球人とノリノリの恋愛繰り返す痛快ポップな宇宙コメディではございません!
魅力その2
人物・感情の描写の緻密さ
兄・夏太郎はとことん愛くるしい。
いぬはすぐに懐く。くそったれオバサンも服をくれる。コンビニの店長はどこか心酔しているようだし、自転車はタダで直してもらえる。
そして冬ノ介の友人である岡部も夏太郎に信頼を寄せるし、冬ノ介に思いを寄せていたはずのちいちゃんも夏太郎に惹かれていきます。
肝心なちいちゃんの心変わりを描くために、ささいな人間関係でも夏太郎の不思議な魅力を描いています。
一方弟の冬ノ介は、ニンゲンがどうしても理解しきれないジレンマと戦っている。
ストーリーの序盤では「ちょっと鈍チン」くらいのKYさでしたが、兄への嫉妬などマイナスの感情を覚えて「ちょっとオカシイ…」程度に進化します。
冬子になってニンゲンに傷つけられてからは、目に見えて笑顔の頻度が減り、無の頻度が増え、いらだちを顕にし、声や話し方が粗雑になり、光を失う。
第8話には女の子になった「冬子」が呆然自失と行った様子で服を着替えるシーンがあります。このシーンは伊野尾さんによれば「本当は上着脱ぐくらいだったんだけど、監督がなかなかカットをかけないからバンバカ脱いだ」と語られるシーン。
映像を見てほしい。カットをかけなかった監督の気持ちが分かる気がします。
美しいのはもちろんですが、その背中は切なくて、せつなすぎて身動きが取れない・近寄れないほどの儚さに包まれています。不可触の美……、ん?女神かw
魅力その3
エイリアン兄弟の『間』と『無』の演技力
トーキョーエイリアンブラザーズには「無」と「間」が随所に用いられます。
ただ空を見つめるだけの数秒。
言葉なく表情さえ見えず、佇まいだけで心情描写するシーン。
感情がわからない空っぽな表情を時折のぞかせる冬ノ介。
じっくりと丁寧に表情や言葉を生み出す夏太郎。
そんな「無」の演技、「間」の演出にゾクリとさせられます。
伊野尾さんは「無」と「静」の表現がとても上手。
声を荒げたりするよりも、ずっと伊野尾さんの演技力が生きる演出です。
魅力その4
原作に忠実なキャラビジュ
伊野尾さん演じる冬ノ介も、戸塚くん演じる夏太郎も、原作の設定通り「トンチキファッションなのに激イケメン」というキャラクターにかなり忠実なビジュアル。
冬ノ介の眼鏡は、伊野尾さんが私物を持ち込んで提案し、それに近いものが劇中で使われたというエピがあります。
かなり早い時点で伊野尾さんの中に「冬ノ介」は形成されていたということでしょう。
細身の伊野尾さんと、伊野尾さんに比べて筋肉質な戸塚くん。
身長や身幅でみれば、大きく違いすぎないから兄弟っぽさが出るし、一方で人格(…でいいのかエイリアンも)の違いを表現するのにはうってつけの体型差だと感じます。
神が采配しキャスティング。合掌。
魅力その5
あらゆるところに詰め込まれたちょっとオカシナ世界観
冬ノ介の部屋にはオカシナものばかり。
一つもあっていないたくさんの時計、ゴム手袋は暖簾代わりになったり、花のように飾られていたり。
少しずつ間違ったオカシナものたちにみえるのは、「ニンゲンは未知でおもしろい。ニンゲンを理解したい。だからニンゲンを模倣する。でも理解しきれない」そんな冬ノ介の努力の爪痕。
「じゆうちょう」にびっしりとしたためられた調査内容もそう。
冬くんの部屋のオカシナ日用品を見るたびに、きゅーーっと切なくなるのです。
魅力その6
エログロを鮮やかに表現する映像美や音楽
さて忘れずに注目すべきは、トーキョーエイリアンブラザーズの製作陣。
「鉄コン筋クリート」や「ヘブンズ・ドア」等を手がけたマイケル・アリアス氏と、「泣くな、はらちゃん」「ど根性ガエル」「トドメのキス」「弱くても勝てます」等を手がけた菅原伸太郎氏。
ふたりのヒットメーカーのW作品監督作品という点でも注目を集めています。
トーキョーエイリアンブラザーズもまた、VFXの第一人者たるマイケル監督らしい映像美に包まれており、端々までスキなく『ポップでユカイなトーキョー』が描かれています。
そして音楽には「Plaid」。
UKテクノの草分け的重鎮バンドで、エレクトロニカやブレイクビーツを融合させたオリジナリティの高いサウンドはマイケル氏の作品にも多く起用されています。マイケル氏とPlaidのタッグは、「鉄コン筋クリート」「ヘブンズ・ドア」を彷彿とさせますね。
あの作品の映像美、世界観に魅せられた方は、きっとエイリアンが暮らすトーキョーにも心躍ること間違いありません。
トーキョーエイリアンブラザーズには過激なシーンがいくつかありますが、お聖水プレイのシーンも、血まみれのシーンも。実に美しく鮮やか。
エイリアンブラザーズ二人の造形美をさらに彩る映像美にも、注目してみてください。
魅力その7
「ぎこちなく笑う」という演技
エイリアンの世界にはどうやら表情という概念はないみたいなのですが、冬ノ介はとても良く笑います。でもその笑い方はとても下手。
にっこり作られた笑顔は「目を細め口角を上げる」という筋肉運動にすぎず、どこかぎこちない(でもカワイイ)。
声を出して笑えば「にゃはははは~」(でもカワイイ)。
「笑う」という行為そのものは習得しているようですが、やっぱりちょっとオカシイんですよね。アイドルとして「笑う」を生業としている伊野尾さんだから、余計に「ぎこちなく笑う」演技の凄みを感じるのかもしれません。
魅力その8
冬ノ介と夏太郎。それぞれの成長と欠落。
兄弟の対比もまた見どころ。
笑うことも話すこともなかった兄・夏太郎は弟に助けられながら、友情を知り、淡い恋を知り、社会生活の中でニンゲンらしさが増していく。
まったく空気読めない君だった兄が、落ち込む弟を気遣ったり、笑わせようとしたりする第8話は、兄ちゃんに何度も泣かされた。
一方の弟・冬ノ介は、複合的な要因でこころの大部分が壊れてしまうのだけど、その素因が単純な一つのトリガでないところが、物語の巧妙さである。
- できない兄の登場→蔑み・軽視
- ちいちゃんの心変わり→嫉妬
- 母星に委ねられていたチキュー探査の打ち切り→承認欲求の崩壊、喪失感
- 女の子になって受けた暴行→恐怖、怒り、自責
こんな出来事がちょっとずつ岸壁を削るがごとく、冬ノ介を蝕んでいきます。
天真爛漫で人気者でモテモテリア充だった冬ノ介は、誰かを恨んでこころを失ったのではなく、おそらく自分の中に急激にうごめいた「負」の感情に負けてしまったのではないかな。
がんばりやさんで、やさしいエイリアンなんだよね、冬ちゃんは。
冬ノ介はエイリアンだけど、人間社会においても冬ノ介が心を痛めたような気持ちに苛まれることってきっとあると思います。
『意味がないことばっか。でも悪くないんだよね』
『未知なんだよね、人間て。でも面白いんだよね』
ちょっとこころが疲れたら、冬くんの笑顔とこんな言葉を思い出せば、今より少しポップでユカイに暮らせるのかもしれませんね。
残すところあと2話。
こころを失って、カラダまでも失いつつある冬ノ介は、この後どうなるのでしょう?
冬ちゃんが笑っているといいな。こころから。
お茶を飲んでほっとしてるといいな。
兄ちゃんと手をとって歩んでいるといいな。
『トーキョーエイリアンブラザーズ』という作品に、なんでもいいから結果がほしい。どんな数字でも、どんなタイトルでもいい。
この作品に携わったすべての方が、心から誇れるような、客観的な何か。
もしこのしがないヲタクの願いが叶うなら。
すべてを称賛し奉るヲタクと、見もしないくせにすべてが許せないアンチが一定数混在するネット投票やネットレビューじゃなくて。
有識者や専門家が評価するアワードでの評価が欲しい。
視聴率に対してヲタクは本当に無力ですが、ここ最近は『視聴率はさておき面白いと評判の作品』もコンテンツとして市民権を得てきています。
今私にできるのは「面白い」と声を高らかに発信すること…かな。
2018年夏ドラマ。
この夏一番ヤバくて、最高にアツいのは、Hey! Say! JUMP 伊野尾慧、A.B.C-Z 戸塚祥太出演の『トーキョーエイリアンブラザーズ』です。(大声)